約束のデートの日がやってきました。
一度は躊躇したものの、いったん行くと覚悟を決めたら、もう迷いはありません。

イチロウさんとその場所で楽しく過ごそう。

週末のその日は雲一つない快晴で、絶好のデート日和でした。
1時間ほど電車に乗り、イチロウさんとその場所へ向かいます。

デートスポットはカップルやファミリーで溢れていました。

みんな、楽しそうです。

私は、イチロウさんと二人、観光地でもあるその場所を見て歩きました。

歴史のある街並みはどこを向いても絵になります。
広場ではイベントをしており、たくさんの出店が並んでいます。

見るものはたくさんありました。


ですが、本当に、ただ見るだけでした。
見て、歩くだけ。
話すことが思いつかず、会話が続きません。

そして、思いました。
この場所、こんなにつまらない場所だった?

チロウさんと行ってみたその場所は、私にとって、もうそれほど特別な場所ではなくなっていました。

私の中に思い出として残っていたその場所は、いざ目の前にしてみると、ただの観光地にしか見えません。

こんなに晴れて、気持ちのいい日なのに。

隣にはイチロウさんがいて、石畳に日差しが降り注いでいました。